意味の深みへ

読むのが楽しみな書き手の一人に小林秀雄を好む者がいる。小林秀雄の考える旧字体の重要性の話もまた興味深かった。「根源へ」にも紹介されていた「福田恆存著/私の國語教室」に現代仮名遣いの不合理について綴られていたことを想起した。

さて、吾々が生くるためにはいくつか大切なことがある。衣食住などもそうだ。しかし、壁に遭遇したとき何が自分を助くるのであろうか。その一つに言葉がある。

かつて「からだ」という文字は「體」と書いていた。この漢字を見るだけで「からだ」とは骨格、つまり骨力が最も重要だと分かる。それが分かれば、物心両面に「からだ」を鍛え上げるとき「骨太」になりたいと考えるようになる。誰だって問題から背けたくなるが、この漢字が肚に入っていると逆境こそ骨力を鍛える場だと想像し得ることもできる。

旧字体には、井筒俊彦が提唱する表面的な言葉の意味だけではなく、形が定まらない意味の顕われとしての「コトバ」と同様な感覚を感じる。それを簡単な文字や言葉で誤魔化されていては勿体無い。

ちょっと言葉使いや漢字が難しいな、というパタンと閉じてしまいそうな本にこそ、コトバの奥底にある想像力を駆り立てる真実があるのかもしれない。

旧字体も難しい言葉も、まだまだ知らないことばかりだが、分からないからこそ想像する楽しみがあるのは知っている。

肚をつくる読書会

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