世界が遠くなる
世界へ挑戦するという言葉が日本を覆っている。ところで世界とは何をもって世界なのであろうか。宇宙も同様だ。何処からが宇宙で何が宇宙なのか。勿論、挑戦することは素晴らしく価値のあることだ。しかし、問題は安易にその言葉を使い、乗せられることにありそうだ。
与謝野晶子「宇宙と私/1923年」と題する詩がある。何が宇宙なのか、何が私であり、あなたなのか考えさせられる詩だ。忘れてはならないのは、今、知っている想像できる宇宙と当時の観る想像する宇宙とでは、明らかに違う景色である。人類初の宇宙飛行は、38年後の1961年。月面着陸したのは、46年後の1969年のことだ。
吾々は海の向こうへ行けたり、大気圏を越えることにより世界や宇宙を遠い所に追いやってしまったようだ。そして同時に想像する営みも失いつつあるのかもしれない。鼻の先から世界であり宇宙であるのに。
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