大人の学問
社会の成員一人ひとりが、自分たちの住む小さい町で、それぞれの生活の課題についてタウン・ミーティングに参加し、自分の意見を云うと同時に他人の意見にも耳を傾けるという経験を積む過程で、自分にとって何が本当に得で本当に損なのかを正しく理解するに至ると考えたのです。
上記の抜粋は、鹿島茂さんが書かれた「進みながら強くなる――欲望道徳論」の中でトクヴィルの言葉が引用されていました。
ついぞ私たちは、片一方だけの情報で物事の真相だと信じてしまいがちです。それも他の切り口があることを考える余地なくです。
誰だって言ひたいことを充分には言へないで、心の中でもだえてゐるのだ。さういふ状態にお互に敏感であること。それが愛情といふものだ。
亀井勝一郎
他方からも考えられることこそ忘れがちの世知辛い世の中。愛、少なき世界なのかもしれません。だからこそ、自分だけではなく他者の考えも聞き、可能であれば語り深めあい再び考えることが大切なのですね。
これこそ読書会での醍醐味であり大人の学問なのです。
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